入社早々、ドン引きするほど上司に説教されて、周りが全員味方になってくれた話

「誰が許可したんだ!!!!!常識ってものがあるだろう!!!!!」
上司が顔を真っ赤にして叫んでいる。
私はただひたすら謝ることしかできなかった・・・
男子校出身営業マンのRYUです。
最近、昔の日記を懐かしい気持ちで読んでいたら、こんなタイトルを見つけました。
『支店長にくっっそキレられた(かばん事件)』
ああ、もうそんな時期か・・・
新入社員が配属されて来るたび、会社の先輩からネタにされ、語り継がれている
通称「かばん事件」
今回は、入社1年目の私を襲った悲劇についてお話ししたいと思います。
私の会社には「かばん手当」という制度があります。
この制度は、営業担当者は営業用のかばんを買うときに5千円分の補助金を支給してもらえる、というありがたいものです。
本社での新入社員研修を終え、支店に配属された私は、希望とやる気に満ちていました。
おれはこれから営業マンとしてバリバリ活躍していくんや!!
スーツも靴もかばんも、仕事道具はええもんでそろえるでー!!
と奮発して、3万5千円のかばんを購入しました。
私の仕事に対するやる気の象徴ともいえるこのかばんが、悲劇を生むことになります。
翌日
購入したばかりのかばんと領収書を携えて、意気揚々と出社した私。
領収書と慣れない申請書を提出した数十分後、事件は起こりました。
「RYUくん、ちょっといい?」
支店長、つまり支店で一番偉い人から呼ばれました。
上司に呼ばれたらメモ帳を持って行け
というハウツーを忠実に守り、メモ帳片手に支店長の元へ。
「これ、誰が許可したの?」
ん?どういう意味?許可?
「誰がこんな高いかばん買っていいって言った?」
支店長は真顔だった。
あれ?意味がわからないぞ
許可もなにも、教えてもらった通りに申請しているので、質問の意図が全くわからず、その場で固まってしまいました。
「誰がこんな高いかばん買っていいって言ったんだああああああああああ」
「会社の経費で買うんだからこんなのだめに決まってるだろおおおおおおおおおおお」
いつもの穏やかな支店長からは想像もつかないような大声で叫び始めました。
事務所中に響き渡り、他の社員が一斉にこちらに注目しています。
やばい、どうしよう、やばい、どうしよう、やばい
事態が把握できず、何も言えず固まっていました。
「常識的に考えておかしいだろおおおおおおおおおお」
こんなにキレている人を初めて見たし、こんなに大声で叫ばれたのは中学の部活以来です。
とにかく怖かったのと、入社早々に人前で怒鳴られているというみじめさで、頭の中はパニック状態。
状況が理解できないし、支店長は顔を真っ赤にして、手がつけられないくらいキレているので、ひたすら平謝りするしかありませんでした。
「常識的に考えておかしいだろおおおおおおおおおお」
「すみません」
こわい
「会社の経費で買うんだから限度ってもんがあるだろおおおおおおおおおお」
「すみません」
どうしよう
「先輩より高いのを買うなんて、なに考えてるんだああああああああああ」
「すみません」
こわい。どうすればええんや・・・
ん?
なんかおかしいぞ?
会社の経費とはいえ、僕がいくら高いかばんを買おうと、会社負担は5千円で変わらないはず。
「僕だってこんな高いの使ってないよおおおおおおおおおお」
「すみません」
あ、この人、自分より高いかばんを買ったことに腹を立ててるんだ。
しかも、会社が3万5千円全額負担すると勘違いしてる。
「常識的に考えておかしいだろgほふぃqhgのrgんpそ;fんゔぉあrんぎklんfぁ」
「すみません」
めっちゃ怒ってるし、今なにか言い訳したら、火に油を注ぐことになる。
謝ろう。
「すみません」
こんな調子で20回くらい「すみません」と言ったところで、ようやく開放されました。
これからどうすればいいんだろう・・・
ショックと恐怖とみじめさで頭の中が真っ白の状態で、デスクに戻りました。
ここで、全く想像もしていなかったことが起きました。
僕が席に着くのと同じくらいのタイミングで、一人の先輩が支店長のところに駆け寄り、何か説明をし始めた。
話すこと数分。
話を終えたその先輩は、その足で私のところまで来て小声で教えてくれました。
「勘違い。勘違い。支店長の勘違いみたい。たぶんもう少ししたら謝りにくると思うよ」
神様!!!!!
どうやら、支店長の誤解を解こうとしてくれたようです。
こういう人のことをヒーローと呼ぶのだと思いました。
結論からいうと、支店長は勘違いをしていました。
会社負担は5千円ではなく、かばん購入金額全額負担だと勘違いしてブチギレていたようです。
勘弁してくれよ・・・
その後の周りの先輩方の私に対するフォローがすごかった。
昼休憩はいろんな先輩方が、ごはんに一緒に行こうと誘って下さり、
就業時間後は、支店長抜きのほぼ全員で私を飲みに連れて行って下さいました。
全員で私をフォローする会みたいになっていました。
「いやー、RYUのあの対応は男だったよ」
「言い返さなかったのは本当に偉い」
「人前で怒鳴るのはだめだよね」
などと励ましていただきました。
結果、この事件によって、支店長以外の先輩方と打ち解けることができ、一気に職場に溶け込みやすくなりました。
ちなみに、あれだけ大声で叫んでいた支店長は、
「もしかしたら僕の勘違いだったかもしれない」
とだけ言って、頭を下げて謝ることはありませんでした。
教訓
①人に恥をかかせていはいけない
人に何か注意をする時は、内容にかかわらず、人前で目立つように注意してはいけないなと思いました。たとえ相手に落ち度があったとしてもです。人前で注意される、または叱られるというのは嫌な気持ちがするものです。自分が悪いことをしたのがわかっていたとしても、恥ずかしい、みじめな思いが強く残ってしまいます。注意する相手に期待することは、今後同じ失敗を繰り返さないことであり、嫌な思いをさせることではありません。もしかしたら、自分が勘違いして注意している可能性もあります。
②間違ったことをしたらきちんと謝る
小学校の学級目標かって感じですが、謝ることは大事だと思います。大人になると無駄なプライドが邪魔をして謝るのが難しくなったりします。しかし、きちんと頭を下げられる人は、曖昧な謝り方をする人や全く謝らない人よりも、ずっと好印象です。
③サラリーマン生活は自分を応援してくれる人が多いほど快適になる
今回の一件のおかげで一気に先輩方と打ち解けることができ、その後とても快適に過ごせるようになりました。困ったときに助けてくれるのは周りの人達です。これはサラリーマンに限らない話かもしれません。社内であれ、社外であれ、自分を応援してくれる人が多いほど、自分のやりたいことが、ずっとやりやすくなります。困った時の選択肢が増えます。なにより、応援してもらえるというのは強力なモチベーションになりますし、その安心感により新しい挑戦をする時の心の支えにもなってくれます。応援し応援される関係というのはとても良いものだなと感じました。
おわりに
この件があった当時は本当に最悪な気分でしたが、今となってはいい思い出です。もしこれを読んでいる新入社員の方がいらっしゃいましたら、理不尽に怒られても反抗したりせず、周りを味方に付け、虎視眈々と力を付けていくことをおすすめします。それがサラリーマン生活を快適に過ごすための1つの方法です。
最後までご覧下さり誠にありがとうございました。
男子校出身営業マンのRYUでした。
またのお越しをお待ちしております。